ハドヴィガーの定理

積分幾何学(英語版)(もしくは幾何学的確率論)において、ハドヴィガーの定理(ハドヴィガーのていり、: Hadwiger's theorem)は Rn における凸体(英語版)への付値 (測度論)(英語版)の特徴付けをする定理である。ヒューゴ・ハドヴィガー(英語版)によって証明された。

導入

付値

Kn を、Rn における全てのコンパクト凸集合の集まりとする。

付値とは、関数 v:Kn → R であって、 v(∅) = 0 かつ、STKn である任意の S,T ∈Kn に対し

v ( S ) + v ( T ) = v ( S T ) + v ( S T )   {\displaystyle v(S)+v(T)=v(S\cap T)+v(S\cup T)~}

を満たすもののことである。付値が連続であるとは、それがハウスドルフ距離について連続であることをいう。付値が剛体運動の下で不変であるとは、任意の S ∈ KnRn の任意の平行移動または回転に対し

v(φ(S)) = v(S)

が成り立つことをいう。

Quermassintegrals

n = 2 のとき、凸多角形に対するシュタイナーの公式を図解したもの。多角形 K と一定半径の円板 Bt 倍とのミンコフスキー和(英語版)の面積は、次の3種の図形の面積の合計で求められる:(1) 元の多角形(黄色)、(2) 面積が多角形の周長および t に比例する図形(青紫色)、(3) 面積が円板の面積および t の2乗に比例する図形(緑色)。

quermassintegral(英語版) WjKn → R は、シュタイナーの公式

V o l n ( K + t B ) = j = 0 n ( n j ) W j ( K ) t j   {\displaystyle \mathrm {Vol} _{n}(K+tB)=\sum _{j=0}^{n}{\binom {n}{j}}W_{j}(K)t^{j}~}

によって定義される。ここで B はユークリッド球体。例えば、W0 は体積、W1表面積の定数倍、Wn-1平均幅の定数倍、Wn は定数 Voln(B) である。

Wj は斉 n-j 次の付値である、つまり、

W j ( t K ) = t n j W j ( K )   , t 0   . {\displaystyle W_{j}(tK)=t^{n-j}W_{j}(K)~,\quad t\geq 0~.}

定理の主張

剛体運動の下で不変で連続な、Kn 上の任意の付値 v は、

v ( S ) = j = 0 n c j W j ( S )   {\displaystyle v(S)=\sum _{j=0}^{n}c_{j}W_{j}(S)~}

と表示できる。

剛体運動の下で不変で連続、かつ斉 j 次な Kn 上の任意の付値 v は、Wn-j の定数倍である。

参考文献

ハドヴィガーの定理の説明および証明:

  • Klain, D.A.; Rota, G.-C. (1997). Introduction to geometric probability. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-59362-X. MR1608265 

Beifang Chen による、初等的で自己完結的な証明:

  • Chen, B. (2004). “A simplified elementary proof of Hadwiger's volume theorem”. Geom. Dedicata 105: 107–120. doi:10.1023/b:geom.0000024665.02286.46. MR2057247. 
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